腰部脊柱管狭窄症について(3)
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今日はこれから2件、出張施術が続きます。
もう少し時間があるので、さらにブログを書いていきたいと思います。
ちょっと難しい記載になるかも知れませんが、誰かのお役に立てたら…幸いです。
前回の記事では、腰部脊柱管狭窄症に対する、基礎的なリハビリの方法を書きました。
腰部と股関節の柔軟性をしっかり高め、腹筋群や大腰筋の筋力をつける!これを的確に継続すれば、経験上では半数程度の患者さんは改善が得られると思っています(改善の程度は、もちろん患者さんによって異なります)。
ほかには、上半身。特に胸郭(肋骨や胸椎周り)の柔軟性を高めることも有効ですね。
腰は上半身を支え、そして足が運ぶことで、人は歩ける(移動できる)わけです。
上半身がカチカチですと、もちろん腰も緊張を強いられますから、脊柱管の内圧も高まりやすい→間欠性跛行が出やすい!となります。
例えば、長い喫煙歴があったり、肺の病気の既往があったりする場合。
また、長期間力仕事に従事されていた場合など、この上半身由来の腰への負荷がとても加わりやすい。
その場合は、腰だけ診ても効果は限定的です。
腰部脊柱管狭窄症=腰だけリハビリしてりゃいいんだ!という頑固な考えは捨てましょう。
ただし、腰をしっかり診ることは当然必要です。そのうえで…ということですね。
よし、もう一段階難しい話をしましょうか。
これができる臨床家は、まだまだ少ないと感じていて、尚且つ腰部脊柱管狭窄症の治療で大切だと思っていること。
それは、腰椎以外の場所で脊髄がストレスを受けていないか。これを評価できる力です。
例えば、腰部脊柱管狭窄症の診断を受けていて、5分歩くと右のお尻がしびれてしまって、歩けないという方がいるとしましょう。
その場合、腰椎と臀部周囲。筋肉や筋膜をしっかり評価できる方であれば、足先まで。どこで坐骨神経がストレスを受けているのか、評価できます。
例えば、第4~5腰椎間の脊柱管内と右の大殿筋の筋膜でストレスを受けているケースなど。
ここまでは比較的簡単です。
そして、さらに改善を目指したいのであれば、腰椎以外の頸椎もしくは胸椎の脊柱管内で、脊髄がストレスを受けていないか。
これが評価できると、改善率はさらに高まってきます。
そんなことできるの?と思われるかも知れませんが、可能です。MRIなぞの画像を取る訳でなく、触診で判断可能なのです。
手が熟練してくると、背中を触って、脊髄の状態を診ることが可能になるのです。
ダブルクラッシュシンドロームという言葉をご存じの方はいるでしょうか(また詳しく書きたいと思います)。
神経がストレスを受けるのは、1個所ではありません。大抵の場合、最低2~3か所でストレスを受けています。
ストレスを受けている場所を的確に評価できれば…。
当然治療効果も高まりますよね。
どうでしょう、ご理解頂けましたでしょうか?
先日出張治療をした患者さんは、第7胸椎レベルの脊柱管内で脊髄がストレスを受けており、そこに加えて、第12胸椎~第1腰椎間。梨状筋というお尻の筋肉、ハムストリングスの筋膜など。様々な場所で坐骨神経がストレスを受けていました。
幸いにも1度の介入で、歩容はだいぶ改善しましたね。
スムーズに事が進む患者さんばかりではありませんが、できることはいろいろとあります。
腰部脊柱管狭窄症でお困りの方は、ぜひ一度お越しくださいませ。
長くなりましたが、お付き合い頂き、ありがとうございました。
そろそろ出発します。皆様、今日は熱中症にご注意を!