リンパ浮腫について
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さて、専門的なことも書いていきたいと思います。
当院のホームページやブログにて、「リンパ浮腫」というキーワードを書かせていただきました。
自分が創業するにあたり、もう一つの大きなテーマになったのがこのリンパ浮腫です。
あまり言葉に馴染みのない方も多いと思います。
身の回りで、リンパ浮腫の方はいらっしゃいますか?
足や体がむくみやすいという言葉はよく聞かれたとしても、リンパ浮腫という言葉を耳にすることは少ないのではないでしょうか。
僕自身、病院や老人保健施設で働いていたときは、リンパに対する知識はもちろん、注意もありませんでした。
整形外科クリニックに勤務するようになり、肩や腰。股関節の痛みを訴える方の既往歴を伺うと、乳がんや子宮がんを患っていた経過があったケースにしばしば出会いました。
そして、浮腫が体に及ぼす影響が大きいということも。
リンパ浮腫に限っては、足の太さが変化することで、今まで従事していた販売員の仕事を退職したというケースもあるそうです。
販売員の方のユニフォームとして、スカートを採用している職場もあるでしょう。
その場合、足がリンパ浮腫を起こすことで、履けなくなってしまう。ユニフォームを着用できなくなったことで、その女性は職場を退職されたとのこと。
「たかがむくみ」
そう考えていた若かりし自分にとって、この事実は衝撃的でした。
それからリンパ浮腫に興味を持ち、勉強をスタート。
学会にも参加し、現状を知りました。
リンパと聞いて、一般的に知られている方法は「リンパドレナージュ」ですね。
巷の治療院やエステに、リンパドレナージュという記載がのを目にしたことはございませんか?
リンパと聞くと、なんだか健康に良さそう。美容に効きそう。そんなイメージが沸きますよね。
店舗によってやり方や掛ける時間もまちまちですが、料金は比較的高額な傾向があります。
ただ、このリンパドレナージュ。現行の方法では、効果が今一つなケースが多い。
そのあたりを詳しく知りたい方は、「乳癌診療ガイドライン」というものを見てください。
運動療法や徒手療法で厳しい場合は、手術が選択肢になってきますが、現行で行われているLVAという手術(細いリンパ管と静脈を直接つなぎ合わせるもの)も効果が安定しないケースも多いようです。
一度乳がんや子宮がんでリンパ節を切除すると、リンパ浮腫発生のリスクがずっとつきまといます。
「手術をして、もう3年以上なんでもないから、このまま大丈夫…」
そう考えておられる方がほとんどかと思います。
手術をされた病院で、しっかりとリンパ浮腫の予防やリスクに関しての説明を受けている方が、どれだけいるでしょうか。
過去に出会った患者さんの中には、術後20年を経過したあたりからリンパ浮腫をおこしたケースもありました。
ここまでいろいろと書くと、リンパ浮腫のむずかしさが何となくご理解いただけたかなと思います。
長くなりましたので、また続きは次回に。 みねざき