筋膜
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さて、今回は筋膜に関して書いてみようと思います。
一時、テレビなどの様々なメディアで取り上げられた筋膜。
セルフケア用の本が、だいぶ売れたと聞いております。買われた方、そして実践された方はいるでしょうか?
そういえば、うちの実家はお肉屋さんです。
母親に「筋膜ってわかる?」と聞いたら、目の前にある豚肉を指さし、この白いやつでしょ?とあっさり指摘していました。お肉を扱うという点では、自分より大先輩ですからね。偉大です、お肉屋さん。
うちらの業界には、流行があります。ファッションや音楽などと同じですね。
セラピストの業界では、数年前に皮膚が流行り、それから筋膜へ移行してきました。
当初、筋膜の勉強会はとても人気があり、抽選で受講生を選んでいました。今はだいぶ落ち着いたと聞きます。やはり筋膜も流行だったのだと思います。
では、筋膜へのアプローチは有効なのでしょうか?
そもそも、筋膜に関しての書籍は、アメリカでは約30年前から存在していたと聞きます。
つまり、新しいものではない訳です。皮膚から始まり、膜は様々なところに連なりを持ちます。ですから、筋膜を施術することで血液やリンパの流れが良くなったり、内臓の動きが改善したり。筋出力が高まったり。様々な効果が出るわけです。
局所中心のアプローチをしていたセラピスト業界にとって、この概念は新鮮でした。
今まで取れなかった関節の痛みが、遠隔に位置する筋膜の修正などで緩和してしまうわけです。
ここまで聞くと、「筋膜っていいじゃん」て思いますよね。
でも、後輩を指導してきた身からすると、このように思うわけです。「筋膜はセラピストをバカにする」。
この言葉には、とても深い意味合いが込められています。
筋膜だけに頼るようになると、関節操作。そして触診がまず下手になってきます。そして、考察も甘くなる。
そして、触診が下手になると、暴力的な施術を筋膜に対してするようになる。
筋膜は壊されることで痛みを感じにくくさせるかも知れませんが、そのあと動きの面では必ず二次障害がでます。
筋肉や関節など、基礎的な触診を的確にできるだけの腕があるなら、筋膜の操作はとても簡単だったりします。
実際にそうゆう先生を見てきましたので。
未熟者が筋膜を壊し、感覚を麻痺させて、痛みを取る…。それだけは避けたいところです。
魅力はありますが、決して万全ではありません。
結局は基礎に戻る訳です。
食事で言えば、メインディッシュではなく、調味料の様なもの。そう僕は考えています。