理学療法士の開業(2)
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さて、前回の続きになります。
僕も含めてですが、最近は理学療法士の開業(独立)が非常に多くなっています。
病院や介護老人保健施設を退職し、整体院を開いたり、デイサービスや訪問リハビリのステーションを開く方もいます。
以前には少数であったこの流れは、何故なのでしょうか。
よく言われている理由としては、養成校の爆発的な増加にあります。
僕が理学療法士の養成校へ入学するとき、推薦入試で4倍以上の倍率であったと記憶しています。
それだけまだ、「狭き門」の時代でした。
それから、超高齢化社会を迎えるにあたり、リハビリ業務を担う理学療法士の需要が増え続けると予想したのでしょう。
養成校が爆発的に増えたのです。
現在では、倍率が1倍を切る学校もあると聞きます。願書を提出し、面接や小論文を書けば簡単に入学できる学校も増えているのではないでしょうか。
そうなると、世に出る理学療法士の数も当然ながら増えますよね。
僕たちは医療費の中から、お給料を頂いています。医療費削減が叫ばれる現在、財源が減るのに従事する理学療法士が増える…。
最終的には、お給料の減額につながる訳です。
理学療法士の初任給はずっと下がり続けています。今では、年収300万円を切る職場も出てきているようです。
実家を出て一人暮らしをしながら、そして日曜日に研修に参加したりすると、お金はあっという間に消えていきます。
忘年会の費用が捻出できない職員がいるとの話も聞いたことがありました。
昇給額も、たいして見込めないところが多い。
そうなると、「夢」が無いわけです。
もちろん、患者さんの生活を支えるリハビリテーションの仕事は楽しいし、やりがいに満ち溢れます。
でも、それだけでは生活できません。それに、うちらの仕事は、一生勉強していくことが求められています。
会議室での研修会でも、オンラインの研修会でも、お金が掛かります。
やりがいを取って、苦しい生活を続けるのか。
そしてもう一つの問題は、力量や熱意のあるセラピストが行ったリハビリと、サラリーマン的な感覚のセラピストが行ったリハビリ。
患者さんが支払う費用、そしてセラピストが受け取る報酬も同じなのです。
ずっと勉強していかなければならない。腕を磨いて、職場のほかのセラピストよりも圧倒的な技術を持ったとしても、報酬は同じ。
年功序列の職場では、出世の見込みもない。
どうでしょう、同じ立場であったら、開業という夢を見ると思いませんか?
医師の下で仕事をすることに疲れ、自分の理想の臨床を求めて開業する方もいます。
一概には言えませんが、このような現状が理学療法士の開業増へつながっているのです。
僕は前の職場で、ある程度のお給料を頂いていたので、収入面では何も不満はありませんでした。
それ以上のものを求めて、開業したのですよね。
長くなりましたので、続きはまた次回に。