リンパ浮腫について(2)
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前回の続きになります。
さて、何から書いたらよいでしょうか。
まずリンパとは何か。これはいくらでも調べる手段があると思いますので、割愛致します。
心臓から動脈を通って血液が送り込まれ、静脈で回収された後に再び心臓へ戻る。
この流れの中で、回収しきれないものを担うのが、リンパ管になります。
リンパ管は最終的に静脈角という場所で静脈に接続しますので、リンパドレナージュを首周りからスタートするのは、理由があるということですね。
リンパ管の出口である静脈角周囲の環境が悪ければ、いくらドレナージで流そうとしてもスムーズに流れません。
ですから先に首回り(正式には鎖骨回り)を開放し、それから手足末端にたまったリンパ液を流すわけです。
ただし、僕が以前に行っていたリンパドレナージュ(ドレナージュと表現して良いのかわかりませんが、このまま進めます)は、足からスタートします。
足底にもリンパ管はあるわけで、そこのケアを丁寧に行うと、足元から静脈角を開放することが可能です。
さて、ここまで読んでいただけた方は、どんな印象をお持ちでしょうか。
「リンパ管の出口が決まっているなら、そこに向けて流し続ければよいのでは?」
確かにそうです。そしてそれはたいして難しくないような印象を抱きます。
でももしそうだとしたら、リンパ浮腫自体の治療は比較的容易ですし、なぜここまで難治症例が多いのか疑問に思うのではないでしょうか。
前回のブログにも記載しましたが、リンパ浮腫の完治はとても難しい。
以前リンパ浮腫の学会に参加した時、手術を実際にやられている医師の方数人で、討論会が開催されました。
その中の一人の方は、「手術がうまくいったとしても、患者さんには、完治という表現はしない。」このように話されていました。
つまり、手術をしても数年で浮腫が再燃する可能性があるということですね。
ですので、ずっとリンパ浮腫の再燃に注意を払わなければならない。
繰り返しになりますが、僕が今まで出会った乳がんや子宮がんの患者さんで、リンパ浮腫のケアやリスクに関してしっかりと説明を受けている方はいませんでした。
簡単なレクチャーがあり、自主トレの紙を渡されていればまだ良いほうです。
がんの手術が終われば、そのままということも多かった様ですね。
治し方がまだ確立されていない分、確実な予防法も提示しにくい。それも要因かも知れません。